不動産投資で人生大逆転 第5話
同期の伊藤は、会社では出世コースから完全に外れている。
しかし、サラリーマンでありながら不動産投資をやっていた。
そして、なんと年間2500万円もの家賃収入を得ていた。
俺は、その伊藤に不動産投資を教えてもらっている。
その伊藤から、俺の今後の方針が設定された。
<今後の方針>
半年以内に中古ワンルームマンションを2部屋購入。
俺は、さっそく中古ワンルームマンションを探そうとした。
しかし伊藤は、不動産投資の初心者である俺が物件を買う前に『絶対にやっておくべき事』を提示してきた。
伊藤との会話内容
物件を買う前に、『やっておくべき事』っていったい何だい?
『絶対にやっておくべき事』とは、不動産投資についての知識を高めることだよ。つまり、勉強だ。
不動産投資は、ローンを借りるなど大きな資金を投入する。
もし空室が続いたりしたら大変だ。
退去後は、リフォーム代がかかる。
だから、事前に賃貸経営の勉強が重要なんだ。
なるほど。
でも、どうやって勉強すればいいんだ?
不動産投資の勉強は、バランスよく学ぶべきだと思っている。
・知識を高める
不動産投資の本を3冊読む
・相場観を養う
3つのセミナーや個別相談会に参加
俺は、毎日本を読んで、週に2,3回はセミナーに行ってたぞ。
なるほど。
仕事以外の時間でも頑張ってたんだな!
この2つの学習を同時並行で進める。
だいたい1~2週間ほどかかるだろう。
最初は面倒だと思うかもしれない。
しかし、ここで勉強したことは物件検討時に必要になる。
知識を高めるために3冊の本、
経験感を養うために3つのセミナー。
本を読むにしても、どんな本が良い?
書店で本を買おうとしけど、たくさんありすぎで迷う。
田中の段階だと、不動産投資の基礎知識や中古ワンルームマンションを学べる本が良いと思う。
3冊買っても5千円か。
必要な自己投資だな。
本を読むと同時に、セミナーや個別相談会にも積極的にも参加すべきだと思う。
不動産投資のセミナーに行くと、本には書いてないリアルの声が聴ける。
仕事後や休みの日くらい、家でゆっくりしたいなぁ。
本だけではダメかい?
本から得る知識は重要だよ。
だが、本だけだと不十分だ。
俺も実際に感じたけど、本を読むよりセミナーに行く方が得られるものは多い。
俺も、初めてセミナーに行ったとき『本だけでは絶対不十分だ』と感じた。
え、そうなの!?
本では『利回りの計算方法』などが書いてあっても、『何%以上の利回りなら良い』とか書いてないんだ。
他にも、『立地が良い場所を買いましょう』と書いてても、『具体的にどこがオススメ』とか書いてないことが多いんだ。
な、なるほど!
それに、失敗談なども書かれていない。
書いてあっても、かなり柔らかくなっている。
その点、セミナーの講演では容赦ない話が出てくる(笑)
失敗おじさんのような、初心者が一棟マンションを買ったが、空室が埋まらず修繕費が出せず、離婚、会社をクビ、10年間借金返済の話なんて、絶対に本では書かれない内容だよ。
なるほどね!
セミナーでは、リアルな相場観とか経験談を聞けるのか!
じゃあ、本で知識を学びながら、セミナーでノウハウや相場観を得るのが良いんだな。
そういうこと!
それに、セミナーに行くと、不動産投資を志している他の人と意見交換などができる。
同年代の仲間と知り合うことで、情報交換とかできるよ。
確かに、本だけだと『生きた情報』って得られないな。
仕事もそうだけど、いくらたくさん資格を持ってても、ノウハウとか経験が無いと何もできないし。
不動産投資の仲間ができるのもありがたい。
不動産投資って、どうしても孤独になりやすいと思う。
特に勉強が得意な人ほど、自分一人で悩み勝ちになる。
けど、初心者が一人でずっと考えても気が重いだけ。
セミナーなどに行って刺激を受けたり情報交換した方が、モチベーション高く続けられる。
伊藤は、不動産投資セミナーには何社くらい参加したの?
不動産投資セミナーは、10社以上は参加したよ。
セミナーで講師や先輩大家などの話した内容は、今でも記憶に残っている。
それに、セミナーで同世代で不動産投資を志している人とも知り合った。
彼らとはその後も情報交換などして、不動産投資のモチベーションを維持してたよ。
みんな、今では立派な不動産投資家になっているよ。
なるほどね。
セミナーの後って個別相談会があるとこ多いよね。
そこでは、物件も紹介されるの?
強引に契約とかさせられないか心配なんだけど。
俺は個別相談会にも積極的に参加したよ。
物件を紹介されるけど、無理矢理な営業など1社も無かったよ。
もちろん、買いたくないときは、しっかりNOと言う必要があるけどね。
良い条件の物件とかも紹介される?
もちろん。
営業マンと信頼関係ができると、未公開物件を案内されるこもある。
ネットに載ると即完売のお宝物件なども、いち早く案内される。
一度不動産業者と実際に知り合うと、その後も色々物件情報を送ってくれるよ。
なるほど。
不動産投資のセミナーで、どこかオススメかな?
オススメは、次の3つかな。
・中古ワンルームマンション投資会社①
・中古ワンルームマンション投資会社②
・不動産投資の学校
さっそくセミナーに申し込んだわ!
『鉄は冷めないうちに打て』って言うしね。
セミナーに行ったらまた感想伝えるから、また色々教えてな。
おう、頑張れ!
伊藤のアドバイスを聞くと、どの様に不動産投資を進めていけばよいか分かった。
未来が開けた様な気分になった。
ただ、意外だったのが、伊藤は不動産投資の基礎をとても重視していたことだ。
さっそく物件を買うことになるのかと思ったら、まずは徹底的に勉強すべきらしい。
伊藤の言うことは当然だ。
大金がかかっているのだから、慎重に進めることは当然だ。
特に強調していたのは、本の勉強だけでなく、セミナーにも参加すべきらしい。
正直、仕事後や土日に出かけるのは面倒だ。
だが、伊藤ほどの経験者が言うのだから、セミナーが重要なのは間違いないのだろう。
不動産投資は、1万円や2万円では始められない。
大金がかかっている以上、手を抜くと将来の大きな失敗につながる。
それだけに、基礎を重視するのは納得できる。
勉強とセミナーで時間は取られる。
だが、人生大逆転のためには遊んでられない。
夜はテレビを見る時間を削って勉強しよう。
土日は、妻に理解を得てセミナーに行かせてもらおう。
40歳にして、夢中になるモノができた。
だが、不動産投資はただの投資ではない。
人生の大逆転をかけた大勝負だ。
まずは、不動産投資の本を読んでみよう。
不動産投資とは、賃貸経営だ。
収入は、家賃収入や礼金・更新料。
支出は、ローン返済と管理費などの経費。
家賃収入から経費を引いた額が、利益となる。
※
利益構造を理解すると、
どういう物件を買うべきかが見えてくる。
一般的には、
・家賃収入は高い方が良い
・ローン返済額は少ない方が良い
・管理費や経費は安い方が良い
が良い物件の条件だ。
だが、良い物件かどうかという判断は、家賃だけでは比べられない。
なぜなら、物件ごとに物件価格が異なるからだ。
①1200万円の物件で年間家賃収入が120万円なら10%。
②2400万円の物件で年間家賃収入が120万円なら5%。
そう考えると、物件の比較は利回りで考えるべきだ。
ローン返済額も同じだ。
1000万円借りるか2,000万円借りるかよりも、
家賃収入から余裕を持って返せるかどうかが重要だ。
そこで、返済比率という考えが重要となる。
返済比率とは、
毎月ローン返済額÷毎月家賃収入
となる。
経費(管理費等)についても、同じく比率で考えるべきだ。
経費が毎月1万円かかる場合、毎月家賃5万円の部屋と家賃10万円の部屋では、後者の方が負担は少ない。
家賃5万円で管理費1万円なら、家賃の20%も経費で取られることになるからだ。
経費率とは、
(管理費+修繕積立金など)÷家賃収入
となる。
金額も大事だが、比率で考えることが大事だ。
賃貸経営をより理解するに、
次の3つの指標は最低限覚えておきたい。
不動産投資の重要な経営比率
・家賃収入は多く→利回りが高い物件を選ぶ
・返済比率を少なく→金利を低く、期間長くする
・経費を低く→家賃対比で管理費が安い物件を選ぶ
このうち、①と③は物件選定時に決まる。
ということは、俺は利回りが高くて管理費が低い物件を選ぶべきだな。
とは言うものの、中古ワンルームマンションってたくさんの種類がある!
伊藤は、『都内23区の中古マンションなら、どこも賃貸需要は高い』って言っていた。
だが、新宿や渋谷といった都心ど真ん中から、練馬や足立の様な県境まで広い。
築年数も様々だ。
新築ワンルームは除外することにした。
だが、築数年から築40年くらいまでたくさんある。
部屋の広さも様々だ。
15m2でバス・トイレが一緒の部屋もあれば、30m2でバス・トイレ別でクローゼットが広い部屋もある。
中古ワンルームマンションと言えども種類が多すぎる。
俺は、いったいどのマンションを選べば良いんだ!?
週末の土曜日。
今日は不動産投資のセミナーの日だ。
先日の伊藤との相談中に、さっそく予約しておいたのだ。
セミナーのテーマは
『中古ワンルームマンション投資の始め方』。
講師による講義1時間+個別相談会30分。
セミナーに行く前、俺は精神的に余裕があった。
俺は、この1週間、不動産投資を勉強した。
3冊もの本を呼んで、完全に中身を理解した。
今日のセミナー後は、個別相談会がある。
おそらく物件を提案されるだろう。
だが、利回りや返済比率などの専門用語が分かる。
まったく不安に思うことは無いし、むしろ楽しみだ。
セミナーの場所は、西新宿の立派なビル。
セミナー会場には、30人ほどの参加者がいた。
30代から60代と、幅は広い。
一方、社員の人は、みな若そうだ。
20代から30代の社員が出迎えてくれる。
みんな若いだけあって、元気いっぱいだ。
講師は、40代のイケメンおじさんだ。
10年以上も不動産投資業界で働いているらしい。
同世代だと思うが、俺よりもエネルギーにあふれている。
多分、俺よりもモテるだろうな。…悔しい。
セミナーでの講義の内容は、
【第1部】不動産投資の必要性
【第2部】賃貸経営の基本
【第3部】物件購入後の管理方法
の3部構成。
第1部の『不動産投資の必要性』では、副収入の必要性を説明していた。
会社員だけの給料に依存するのは危険。
どんな会社でも、倒産、業績悪化、クビなどもあり得る。
残業増加や人間関係で辞めざるを得ない事もある。
副収入があれば生活の助けとなる。
会社からの給料がゼロとなっても、副収入があれば食費などを補える。
副収入と言えども、最初は微々たる金額かもしれない。
ただ、続けていればいつか副収入が会社員の給料を超える。
そうなると、会社員を辞めても生活していける。
重要なのは、『会社を辞めざるを得ない状況になってから始めても遅い』と言うことだ。
まだ会社員として問題なく働けているうちに、副業をスタートさせておくべきなのだ。
早くスタートするに越したことは無い。
知った時がスタートすべき時。
なぜなら、家賃収入は時間と共に入ってくるからだ。
第2部の『賃貸経営の基本』では、
どんな物件を買うかが最も重要だ、と言っていた。
不動産は、買った物件で、その後の経営成績が8割決まってしまうという。
買った後の努力では、どうすることもできない事もあるからだ。
例えば、買った後では立地は絶対変えられない。
立地に致命的な問題があれば、売るしか解決法は無い。
中古ワンルームマンションは、都内23区なら問題ないらしい。
これは、伊藤も同じことを言っていた。
よく、『駅から徒歩10分以内』と言うが、都内なら例外らしい。
バスが多かったり、自転車での移動も多い。
また、特に地方出身者は、徒歩20分でも余裕で歩くらしい。
このことは、実際に不動産の世界で働いているから分かることだ。
ローン返済額も、買った後は基本変えられない。
ローンの借換えも可能だが、違約金や手数料が必要だ。
それなら最初に良い銀行から借りとくべきだ。
中古ワンルームマンションへの融資は、多くの銀行で積極的らしい。
一般的に、規模が大きい銀行ほど金利は低いらしく、1%台から2.5%くらいが目線。
信金・信組・ノンバンクで借りると、2~3%台になる。
具体的な金融機関名は、本には載っていない。
まさに、セミナーだから言えることだ。
経費である管理費・修繕積立金も、
家賃対比で高すぎる物件を買ってはいけない。
また、途中で修繕積立金などを挙げてくる場合もある。
そのため、余裕を持った試算で始める重要性を言っていた。
最期に、今後の不動産投資の戦略・進め方を語っていた。
もしおこずいかい程度の副収入で良いのなら、
中古ワンルームマンションを買い増して行けばいい。
手残りは多くないが、空室に困ることなく資産は増えていく。
ただ、もしセミリタイアを目指すなら、
どこかの時点で一棟マンションや一棟アパートを目指すべき。
ただし、最初に中古ワンルームマンションを買うことは、
今後の不動産投資の規模拡大に大きくプラスに働く。
提案した中古ワンルームマンションは、条件的に良い物件が多いらしい。
今物件を買うと、月々の手残りとローンの元本返済で、確実に資産は増えていく。
そうなると、数年後に売却したとき、まとまったお金ができる。
その際は、ワンルームマンションは売却すべき。
増えたお金は、一棟モノの購入時の頭金にできる。
また、不動産投資の経験値も劇的に上がっているはず。
販売図面を10秒見ただけでから、その物件が良いか悪いかを判断できる様になるという。
実際にオーナーになることで、不動産の知識がイヤでも鍛えられるからだと言う。
まとまった資金と、豊富な経験があれば、一棟アパートや一棟マンションを買っても安定的に経営していける。ワンルームマンション投資でレベルアップしていれば、、物件選びの段階で失敗しないのだ。
伊藤も同じ事を言っていたな。
中古ワンルームマンションはあくまで途中地点だ。
セミリタイアするための通過点だ。
しかし、ただの通過点ではない。
今後大きく飛躍するための、重要な通過点なんだ。
講義の後は、個別相談会だ。
参加者1人に対して、2人の営業マンが対応していた。
まぁ、個別相談会という名だが、実質的には2対1での営業だな。
俺の担当となったのは、
若くて元気な男女のペア。
俺の全盛期の10倍くらいの勢いがある。
おそらく、学校のクラスでも人気者だったんだろうなぁ。
営業マン2人は、ある中古ワンルームマンションを提案してきた。
今扱っている物件の中でも、オススメだと言う。
中古ワンルームマンションの条件
・価格は1200万円
・利回り5.2%。
・築20年程度
・JR山手線の日暮里の徒歩15分
営業マンは、『オススメ』ですと強調する。
だが、俺にとっては初めて見る具体的な物件。
利回り5.2%という利回りは高いのか低いのか?
山手線沿いとはいえ、新宿駅と日暮里駅とでは大きな差がある。
最寄駅による違いはどう判断すれば良い。
さらに、営業マンは説明を続ける。
融資は〇〇銀行か△△銀行を使うと、30年2.3%で借りれます。
ただ、退去後は床と壁のリフォームが必要かもしれません。
それ以外にも、たくさんの疑問が出てきた。
金利2.3%って高いのか低いのか?
他にもっと金利低い銀行は無いのか?
リフォーム代は、いくらくらいかかるのか?
そのほかにも、疑問はどんどん出てくる。
今入居中の人の家賃は適切なのか?
退去後、築20年の物件でも入居者が現れるのか?
営業マンは、説明を続ける。
簡単に説明しているつもりだが、まだ知らない専門用語も多い。
利回りなども、高いかどうかも分からない。
説明を聞いても、半分くらいしか理解できない。
私は、『なるほど』とうなずくしかできない。
これが1万円程度のモノなら、
勢いで買っても良いだろう。
だが、中古ワンルームマンションは1,200万円もの価格だ。
『これは良い』と確信しないと、とても買えない。
この1週間、不動産投資の本を3冊も読んだ。
利回りや返済比率、収益還元法や積算価格などを勉強した。
だが、俺は単語や計算法を知っただけだった
相場感が全くなかった。
俺は、まだ不動産投資を分かってなかった。
利回りの求め方は分かっても、5.2%という利回りが高いどうか分からない。
返済比率の求め方は分かっても、どの金融機関が何%で貸してくれるのか知らない。
営業マンの言っていることは、
分かっているようで、全く分からない。
俺はセミナーに参加して、
知識や相場観が全く無い事を思い知らされた。
今の俺には、良い物件を見抜く力はない。
この物件が、良いか悪いかを判断できない。
今日の段階では判断を下せない。
資料だけ受け取り、そそくさとセミナー会場を後にした。
セミナー会場を後にした俺は、すぐさまスマホを取り出し電話をかけた。
伊藤!
今から新宿で会えるか!?
俺は、不動産投資の師匠の伊藤に電話をしていた。
今の俺の気持ちが分かるのは、伊藤だけだ。
早く伊藤に会って話したい。
俺が何を思ったか。何を感じたか。
電話の向こうで、伊藤はビックリしている。
だが、伊藤は心配してくれて、
すぐに新宿までかけつけてくれた。
田中、いったいどうしたんだ!?
セミナーで何かあったのか!?