不動産投資で人生大逆転 第2話
会社で不遇を受けていた俺は、同期の伊藤と飲みに来ていた。
そこで、伊藤が新宿の超高級タワーマンションに引っ越ししたことを知った。
だが、俺たちは会社での出世が遅れていて年収は700万円程度。
とてもそんなタワマンになど住めるはずがない。
だが、伊藤はかなり羽振りが良い。
その理由は、不動産投資をしているからだと言うのだ。
伊藤との会話の続き
田中よ。
実は俺、7年前から不動産投資を始めたんだ。
会社とは別に、家賃収入を得ているんだよ。
え!?
不動産投資?
家賃収入?
不動産投資。
聞いたことはある。
不動産投資と言えば、富裕層が行っている資産運用だろう。
銀行にお金を預けておいても、金利が低いため利息が増えない。
そのため富裕層は、都市部のワンルームマンションを買って家賃収入を得ている。
どこかで耳にしたくらいで、あまり詳しくは知らないが。
しかし、伊藤はただのサラリーマンだ。
入社当時から仲良いが、伊藤がお金持ちという話など聞いたことも無い。
よく一緒に、安い居酒屋を探して飲んだりしていた、
金銭感覚も同じくらいで、富裕層ということなどありえない。
それなのに、不動産投資をしているって?
家賃収入を得ているなんて、どういうことだ?
伊藤って実は金持ちなのか?
伊藤との会話の続き
不動産投資って、富裕層がワンルームマンションを買って家賃収入を稼ぐ方法だよな?
伊藤、実は金持ちだったのか?
それとも、相続か宝くじでお金が入ったから、不動産でも買ったとか?
いやいや。
実家はお金持ちではないよ。
それに、俺の両親は健在だし、宝くじなど当たったことないよ。
て、今は不動産投資なんて、普通のサラリーマンでやっている人いるだろ?
よく会社に不動産屋から営業電話とかで、ワンルームマンション投資の電話かかってくるし。
確かに、たまに会社にマンション投資の営業電話がかかってくる。
節税対策とか老後のためとか言われるが、怪しくていつも切っているが。
伊藤は、その不動産投資で稼いでいるのか?
ワンルームマンション投資ってそこまで稼げるのか?
あぁ、会社への営業電話ってすぐに切っていたわ。
もっとじっくり話を聞いておけばよかった。
不動産投資って儲かるんだな?
伊藤は、ワンルームマンションをいくつ持っているのか?
不動産投資を始めた頃は、ワンルームマンションをいくつか持っていた。
だが、もう今はワンルームマンションは持ってない。
今は、一棟モノを専門としてやっているんだ?
一棟モノっていったい何?
ワンルームマンションとかじゃないの?
一棟モノっていうのは、アパートやマンションを土地ごと丸々買うんだ。
そして、その物件の全ての部屋から家賃を得られるんだ。
もちろん、敷地内の通路や屋根や壁まで、全てを管理する必要があるけどね。
ワンルームマンションではなく、マンションを土地から丸ごと持っているってこと!?
そうそう、土地ごと丸ごと!
一棟買う方が、多くの家賃収入が得られるんだよ!
どういうこと?
土地ごとマンション全部だと?
理解が追い付かない。
マンション一室でも数千万円とかするだろうに…。
それが、アパートやマンションを土地ごと丸々だと!?
伊藤って、俺と一緒でただのサラリーマンだろ?
なぜそんなお金があるんだ?
伊藤は、不動産投資をやっていると言ったが、
まさか土地ごとアパートやマンションを買っているなんて。
全く想像がつかない。
俺の知っている伊藤とは、全く違う…。
だが、まだ重要な事を聞いていない。
実際、いくらくらい儲かっているのだろう?
伊藤との会話の続き
で、実際どのくらい儲かっているんだ?
年間100万円とか200万円とか!?
もしかして、500万円とか!?
家賃収入は、年間2500万円ほど。
ええぇっ!?
年間2500万円も家賃収入を得ているだと!?
けど、ローン返済や管理費を引けば、手残りでは年間900万円くらいだけどね。
手残りでも年間900万円もあるだと!?
給料以外で手残り900万円って、かなりの金持ちだぞ。
ちなみに、俺と伊藤の会社の年収は同じくらいだろう。
税込みの年収は、だいたい700万円くらいだ。
手取りだと600万円くらいだ。
ということは・・・。
じゃあ、伊藤は手取りで年間1500万円くらい得ているってこと?
そうだよ。
ま、まじかよ。
伊藤は、俺の2倍以上稼いでいるってことか!?
伊藤のやつ、とんでもないお金を稼いでいるな。
というか、年間の手取りが1500万円なんて部長以上だぞ。
それどころか、執行役員以上だぞ。
いったいどうなってるんだ!?
お前、すごいな。
いったいどれだけ一棟マンション持っているの?
えーと、
アパート1棟とマンション2棟。
3棟合わせて、2億5,000万円くらいしたかな。
まぁ、資金の9割以上は銀行から融資を受けたけどね。
2億5,000万円だと!?
いったいどうなってるんだ!?
2億5,000万円なんて、想像もできない金額だぞ。
一生働いても絶対貯まらない自信がある。
それを、さらっと2億5,000万円って言いやがる。
伊藤は、いったいどうなってしまったんだ!?
だが、伊藤は年末年始に家族で海外旅行に行っている。
また、新宿のセントラルタワーに住んだりしている。
ということは、不動産投資で儲かっているのは本当なんだろう。
伊藤との会話の続き
伊藤…すげえな。
まさか不動産投資をやっていたなんて。
全く想像もしていなかったよ。
いやぁ、全然だよ。
世の中、もっととんでもなく稼いでいる人もいるし。
俺からすると、目の前の伊藤はとんでもなく稼いでいる人だよ。
伊藤がそんなに稼いでいるなんて、全く想像できなかったんだよ。
けど、待てよ。
伊藤は、そもそもなんで不動産投資をしようと思ったんだ?
そこまで儲けるなんて、簡単じゃないだろう。
ちょっと不動産投資を勉強したくらいでできないだろう。
2億5,000万円もの不動産を買うなんて、普通じゃないぞ。
むしろ、2億円以上もの借金など、俺は怖くて借りれない。
伊藤との会話の続き
伊藤はなんで不動産投資やろうと思ったの?
元々、資産運用や不動産に興味があったの?
いいや、不動産は全く興味なんてなかったよ。
じゃあ、なんで2億5,000万円も買ったんだよ?
家賃収入2500万円も稼いでるんだよ?
一瞬、伊藤の目が鋭くなった。
普段の陽気な伊藤の目ではない。
・・・。
悔しかったからだよ。
悔しかった?
いったい、何が?
会社での出世コースから外れたでからだよ!
えっ!?
出世コースから外れたのがきっかけ!?
出世コースから外れたって、
7年前に伊藤が主任に昇格できなかったこととか!?
そうだよ。
あのせいで、俺、会社で全然出世しないだろ?
伊藤は、その言葉と共に鋭い目つきでこちらを見ている。
その目は、今まで見せたこともない様な鋭い眼光を放っている。
7年前、同期の中で俺だけ主任に出世できなかっただろ?。
俺は必死に仕事を頑張っていたけど、上司と相性が良くなかったんだ。
その結果、最初の段階で出世コースから外れてしまったんだ。
あの時の事は、今でも覚えている。
俺、ホント悔しかったんだ。
あぁ、なんとなく覚えてる。
同期50人中、お前だけ出世できなかったよな。
けど、サラリーマンだし仕方ないだろう。
俺さ、家に帰って、めちゃくちゃ泣いたんだ。
悔しくて悔しくたまらなくて。
今まで勉強とか恋愛とか頑張ってきたけど、
俺だけ出世できなかったのは大きなショックだったよ。
これで、出世コースから外れてしまったと悟った。
しかも、周りの視線に耐えるのも辛かった。
悩んだ結果、会社以外で十分稼げば、全てが解決すると悟ったんだ。
会社以外で稼ぐ!?
なぜ、そういう答えにたどり着いたんだ?
よく考えてみろ。
俺たちは、なぜ会社に行っている?
会社が好きだからか?
仕事が好きだからか?
会社の同僚に会うのが楽しいからか?
いや、どれも違う。
生活費のためだよ。
生きるためだよ。
そうだよ。
俺たちは生きるために働いているんだ。
生活費を稼ぐために、会社に行ってるんだよ。
けど、逆に考えてみなよ。
会社以外で生活するのに十分な収入を稼げたら、
別に会社に行かなくて良くなるんじゃないか?
あ!?
確かにそうだ!
十分な収入があれば会社を辞められる。
セミリタイアってやつか!?
そう、セミリタイアだ。
だから俺は、会社以外で収入を得られないか考えたんだ。
十分な資産や収入を得て、会社を40代のうちにセミリタイアしようと決意した。
そして、セミリタイアできるまで、
誰にも言わないでおこうと心に誓ったんだ。
なるほど。
それで、セミリタイアを目指したのか。
それから、不動産投資を始めたのか?
いや、最初は株式投資を始めた。
しかし、株はうまくいかなかった。
株価が将来上がるか下がるかなんて、とても素人では判断できない。
勉強したら儲かるって言うけど、絶対無理だ。
それに、仕事中も株価の上下が気になって仕事に集中できなかったよ。
確かに、俺もその気持ちわかる。
前に日経平均の投資信託を100万円持ってたけど、利益出たり損したりで精神的に疲れてすぐ止めてしまった。
株では安定的に資産形成できないと悟ったんだ。
で、次に目を付けたのが不動産投資だったんだ。
同じ部署の先輩で新築ワンルームマンションを買ったという人がいたんだ。
ネットで調べていると、不動産投資でセミリタイアした人もいることも知った。
それ以来、俺は不動産投資について色々調べたんだ。
なるほど。
株式投資から不動産投資に移ったということね。
俺は、不動産投資について調べるうちに悟った。
『不動産ならセミリタイアできる』とね。
不動産投資はいわゆる大家さんだ。
大家さんなら、毎月安定的に家賃が入ってくる。
株みたいに大きな儲けは期待できないが、数年~数十年に渡って利益を出し続ける。
確かに、家賃収入は安定しているよな。
入居者も家賃は最優先で払うだろうし。
そもそも、大家さんは昔から存在してる。
それの富裕層はみな、他人の支払う家賃収入で生活している。
だが、サラリーマンでも十分な家賃収入が入れば、会社を辞めても生きていけると思わないか?
た、確かに…。
伊藤の言うことはもっともだ。
十分な収入さえあれば会社を辞められる。
セミリタイアしても、生活していける。
だが、そんなこと普通思い浮かぶか?
思い浮かんでも、実行できるか?
だが、伊藤は現に不動産投資で大きく稼いでいる。
年間家賃2500万円、手取りで900万円得ている。
セミリタイアに近づいているだろう。
最近、世間では副業が流行っていると言う。
だが、不動産投資で年間家賃2500万円って副業のレベルじゃない。
もはや、不動産投資が本業で、会社員が副業だ。
俺にはとても想像できない。
そもそも、想像したことさえなかった。
だが、目の前の伊藤がそれほど稼いでいるなんて。
いまだに理解が追い付いていない。
だが、これは現実だ。
7年前、伊藤は主任になれなかった。
そして、そのまま出世は遅れ続けている。
だが、伊藤はこっそり不動産投資を頑張っていた。
そして、会社の給料と合わせて手取り1500万円。
手取り1500万円て、バケモノかよ。
一方、俺は人生を諦めかけていて手取り600万円。
伊藤の半分以下じゃねーか。
伊藤は、7年前に不動産投資を始めたと言ってたな。
たった7年で、とんでもない差がついてしまった。
伊藤は頑張ったんだろうな。
出世コースから外れたのが、相当悔しかったんだろうな。
だが、悔しいだけでなくて、諦めなかったんだな。
悔しさをバネに、ずっと頑張ってたんだろうな。
あの眼光の鋭さは、悔しさの現れなんだろう。
ボーっとしてる奴と思ったが、あんな目をする奴だったんだな。
誰よりも、熱いエネルギーを持っていたなんてな。
伊藤との会話の続き
伊藤は、もうセミリタイアの目途はついているの?
もう何年か後に会社を辞めるの?
あぁ、もうセミリタイアは目前だ。
あと1,2年働いて、40代前半には会社をセミリタイアする。
セミリタイアしたたら、不動産投資をしながらゆっくりと家族と過ごそうと思う。
もう満員電車にも乗らなくていいしな。
その瞬間、
俺は体に電流が流れるのを感じた。
そして、テーブルに身を乗り出して伊藤に叫んでいた。
伊藤。
お前すごいよ!
一人でそんな大きな収入得ているなんて。
そんなすごい奴だなんて知らなかったよ。
家賃収入2500万円!?
手取り900万円!?
バケモノすぎるよ!
それに比べて俺なんて…。
…。
伊藤よ、聞いてくれ。
半年前、仲の悪い後輩Cが俺の上司になったんだ。
そして、俺が半年かけてやっていたプロジェクトの成果を横取りしやがった。
俺、もうどうしようもなくてさ。
挽回をかけてやったつもりだったのに、出世遅れがさらに遅れそうだ。
…。
今まで、俺は仕事頑張ってきたのに。
だが、俺は会社じゃもうダメだ。
いくら頑張っても、これ以上は出世できそうにない。
おそらく、今後は窓際部署や子会社に行くだろう。
そこで、バイト以下の扱いをされて、使い捨てされるだろう。
サラリーマン人生はもう終わりだ。
・・・。
だが、まだ人生は諦めたくない。
一度きりの人生。
このまま、終わりたくないよ。
俺も人生を変えたい。
今のままじゃイヤだ。
俺は、いつのまにか大声で叫んでいた。
最後の方は、涙声になっていた。
40歳にもなる男が、店中に響く声で泣いていた。
周りは静まり返り、クスクス笑う声が聞こえていた。
だが、伊藤はそんな俺を真剣に見ていた。
同期の俺が、人としての弱さを全てさらけ出している。
どうにもならない心の悩みを打ち明けている。
そんな俺の告白を、伊藤は黙って聞いていた。
一通り泣き叫んだ俺は、座ってつぶやいた。
伊藤に聞こえるかどうかの小さい声でつぶやいた。
伊藤との会話の続き
伊藤。
俺も不動産投資やりたい。
今からでも、人生逆転できるかな?
不動産投資で、人生変えられるかな?
伊藤は黙って俺を見ている。
黙ってはいるが、見下すでも見上げるでもない。
まっすぐこっちを見ている。
いや、伊藤に言うのは間違っているな。
俺の人生だ。俺次第だよな。
俺が決断して、俺が実行すべきことだな。悪かった。
その時だった。
ずっと黙って俺の話を聞いていた伊藤が、口を開いた。
俺でよかったら、不動産投資のアドバイスするよ。
俺がここまでどうやって規模拡大したかを、教えてあげれるよ。
え!?ホントか!?
俺に不動産投資のアドバイスしてくれるのか?
伊藤の成功体験を、俺に教えてくれるのか?
あぁ、田中に全て教えてあげるよ。
特に、不動産投資は初心者で突っ走ったら、大失敗する可能性がある。
もちろん、お前が俺の話を聞いて、どうするかは田中の自由だ。
不動産投資をしないという選択肢もある。
分かった。
ありがとう。
で、まずはどうすれば良い?
俺もでっかいマンションを買うのか?
まぁまぁ。落ち着け。
今日はもう遅いし、アルコールも入っている。
もし本気で不動産投資を検討するのなら、明日会社の近くの喫茶店で話そう。
伊藤、ありがとう!
明日、楽しみにしてる。
店を出てから、
俺たちは駅に向かって歩き出した。
伊藤から、不動産投資を教えてもらえる。
俺は、それだけでうれしかった。
だが、実際に教えてくれるのは明日以降だ。
今日はまだ何も聞いてはいない。
だが、こんなに気持ちがすっきりした夜は久しぶりだった。
伊藤との会話の続き
そういや伊藤、
なんでお前が不動産投資をしていること俺に話してくれたの?
今まで、誰にも言わずに一人でやってきたんだろ?
田中。
お前には感謝しているからだよ。
そのお前が、会社が辛いって叫んでいた。
本気で辛そうにしてた。
だから、なんとかしてあげたいと思ったのさ。
それはうれしいよ。
けど、なんでそこまで?
俺ら、入社してからよく一緒に遊んでいただろ?
それに、お前はよく合コン開いてくれてただろ?
お前も知ってるけど、俺が嫁と出会ったのはお前が主催した合コンだよ。
お前が合コンを開いてくれたから、俺は嫁と出会えたんだ。
俺の今の幸せがあるのは、お前のおかげなんだ。
だから、俺はずっと思ってたんだ。
いつか、お前には恩返ししなきゃなって。
確かに、伊藤は俺主催の合コンで今の奥さんに出会った。
今では、子どもにも恵まれて、幸せな毎日を送っている。
お互い家庭ができてからあまり遊ばなくなったけど、
伊藤の中で俺の事をそんな風に思ってくれていたなんて…。
伊藤との会話の続き
伊藤、ありがとう。
明日、楽しみにしてる。
あぁ。
不動産投資をみっちり教えてやるよ。
田中も不動産投資で成功できるように、色々教えてやるよ。
伊藤。
いや、伊藤先生。
ぜひ、よろしくお願いします!