不動産投資のアパート物件探し 第8話
さて、次の中古アパートの調査は千葉県だ。
千葉県に、不動産投資用の中古アパートの調査に行こう!
千葉は、東京や神奈川よりも土地の力は劣るイメージがある。
土地の力とは、地価や家賃だ。
全般的に、
東京>神奈川>埼玉≧千葉
のイメージだ。
だが、安いことは悪いことではない。
一都三県の中では、埼玉と並んで価格がお手頃で高利回りのアパートが多い。
初心者には取り組みやすいのでは、と思う。
ちなみに、千葉と言っても広い。
めちゃくちゃ広い。
実際、地図を見てびっくりした。
※地図
船橋や市川も千葉県だ。
だが、木更津や九十九里や旭市も千葉県だ。
さすがに木更津や九十九里は遠い。
そこまで行くと、地方物件と言った方が良いだろう。
千葉県の中でも、東京に近い地域に絞ろう。
遠くとも、千葉市くらいまでにしよう。
まずは、千葉市の中央区と稲毛区だ。
今回も商用車を予約済み。
商用車は、土日でもだいたい予約可能だ。
千葉市に行くのは初めてだ。
公私ともに、今まで行く機会が無かった。
千葉県の県庁所在地は千葉市だ。
近くにはターミナル駅の千葉駅がある。
そもそも、千葉駅は人が多いのか?
ウィキペディアで『千葉駅』を調べる。
JRの複数の路線が乗り入れている。
JR千葉駅だけで、1日乗車人員10万人。
その他に、京成線や千葉都市モノレールなども。
これだけ見れば、かなりの都会だ。
だが、実際にこの目で見てみたい。
中古アパートに向かう前に、千葉駅前に寄ってみよう。
この目で、千葉駅を見てみよう。
レンタカーで千葉駅に向かった。
千葉駅前には、人がとても多く活気がある。
デパートや大手企業のオフィスなどもある。
千葉駅はとても都会だ。
さすがに一都三県と言うだけあって都会だ。
疑ってすいませんでした。
この場を借りて謝ります。ゴメンナサイ。
1棟目の中古アパートは、ここから2駅隣の千葉寺駅。
レンタカーでは千葉駅から15分くらい。
①売りアパートの販売条件
JR内房線 千葉寺駅 中古一棟アパート
所在地 | 千葉県 |
---|---|
最寄り駅 | JR内房線 千葉寺駅 |
1日乗車人員 | 2000人 |
駅徒歩 | 12 分 |
構造 | 木造アパ-ト |
築年数 | 25年 |
販売価格 | 2480万円 |
満室家賃 | 252万円 |
利回り | 10.1% |
積算価格 | 900万円 |
※積算は相続税路線価ベース
<物件選定理由>
立地 | 千葉駅から2駅 |
---|---|
利回り | 11%台の高い利回り |
担保力 | ― |
その他 | 適度な価格帯 |
千葉寺駅の周辺は、高層ビルなどは無い。
住宅とアパートが建ち並んでいる。
京成線とはいえ、千葉駅から2駅しか離れていないのにこの田舎っぷり。
1日乗車人員もたった2,000人。
あの千葉駅前の人の多さは何だったんだろう。
だが、土地は区画整備されていて道は広い。
こういうキレイな街並みはポイント高い。
のどかな街並みだが、田畑は無い。
千葉駅から2駅なので、賃貸や戸建ての需要は有るのだろう。
街並みを観察しながら、中古アパートに向かう。
中古アパートまでもう少しの場所に来た時だった。
びっくりする光景を目の当たりにした。
中古アパートは見えている。
ほら、あそこだ。
だが、その中古アパートまでは30mほどの坂がある。
しかもかなり急だ。
こんな落ちがあるとは。
完全にマンガの世界だな。
ここまで来たからには、坂を上るしかありません。
真夏の暑さの中、気合を入れて、坂を駆け上がっていきます。
30mの坂はきつい。
だが、ようやく中古アパートに到着。
なんとか上り切りました!
とっても頑張りました!
まぁ頑張ったのは、私ではなくレンタカーのエンジンとタイヤですが。
中古アパートに到着した瞬間、ある違和感を覚えた。
このアパート、
人の気配がしない。
通常、人が住んでいれば生活使うモノが目にあるはず。
自転車だったり、洗濯物だったり。
もしくは、玄関前の傘、ポストの郵便物、通路のゴミなど。
何かしらのモノが目に入るものです。
しかし、この中古アパートにはそれらが全く無いのです。
小さいゴミですら無いのです。
そうです。
まさかの全空室!
この中古アパート、時が止まっているのです。
全空室の中古アパートを目の前にすると、色んな考えが頭の中を巡りました。
大家は、なぜこうなるまで手を打たなかったのか。
手を尽くしたが、賃貸需要が無いのか。
入居者や近隣住民が原因で、全員退去してしまったのか。
それとも、恐ろしいお化けでも出るのか。
いろんな想像を膨らませた。
だが、答えは分からない。
ただ、目の前にあるのは全空室のアパート。
全空室の中古アパートを見ながら、ふと考えてみた。
この様な物件は、実はチャンスなのでは!?
全空室物件は、当然ながら買ってもすぐに家賃は入ってこない。
むしろ、その前にリフォームが必要となるかもしれない。
リフォームしても入居が決まるまで時間がかかる。
当然、その間も銀行への支払いは続く。
全空室の物件など、ほとんどの投資家は買わないだろう。
だがもし、この中古アパートに満室経営できそうだったら?
誰も買わないアパートほど指値ができる。
しかも、思い切った指値が通る可能性もある。
もちろん、初心者が全空室の中古アパートを買うのは現実的ではない。
満室にできるかの判断などできない。ノウハウもない。
そもそも融資の審査が通らない。
ただ、もし経験者だったらどうだろうか。
空室を埋めるためのノウハウ・経験を持っている。
他の物件のキャッシュフローで、リフォーム中や募集中の支出を補える。
つまり、
安く指値で買って、
他の物件で収支を補っている間に、
物件を再生させれば良いのだ。0
経験者にとって再生可能な問題物件は、より高みに行くチャンスだ。
だが、私はまだ物件を持たない初心者だ。
初めての物件で全空室は無理だ。
キャッシュフローがマイナスでのスタートになってしまう。
毎月10万以上持ち出しなんて、精神的に耐えられない。
次行こう、次!
不動産投資の教訓23
全空室の物件はチャンスだ
全空室のアパートなど、ほとんどの投資家は買わない。
だが、誰も買わないアパートほど思い切った指値が通る。
満室にできる経験値・ノウハウがあるなら、問題物件はより高みに行くチャンスだ。
※初心者が全空室物件を買うのは現実的ではない。
満室にできるか判断できないし、ノウハウもない。
次の物件の最寄り駅は大森台駅。
この千葉寺駅の隣駅だ。
②売りアパートの販売条件
京成千原線 大森台駅 中古一棟アパート
所在地 | 千葉県千葉市中央区 |
---|---|
最寄り駅 | 京成千原線 大森台駅 |
1日乗車人員 | 1300人 |
駅徒歩 | 2分 |
構造 | 木造アパ-ト |
築年数 | 16年 |
販売価格 | 2800万円 |
満室家賃 | 320万円 |
利回り | 10.8% |
積算価格 | 1600万円 |
※積算は相続税路線価ベース
<物件選定理由>
立地 | 最寄駅から徒歩2分 |
---|---|
利回り | 10%台の利回り |
担保力 | ― |
その他 | 適度な価格帯 |
大森台駅はとても小さい駅だ。
1日乗車人員はたった1,300人。
少ないなんてもんじゃない。
見る意味はないかもしれない。
まあでも、勉強も兼ねて駅と物件を見に行こう。
大森台駅に到着。
予想通り人は少ない。
というか、見当たらない。
ここまで人の気配がしない。
だが、駅から2分というのはすごい。
考え方によってはとても強みである。
駅から物件まではとても近くだった。
おぉ!
建物はキレイだ。
文句なしでイケメン物件。
築16年だがキレイな建物だ。
最近よく見ていた築20年以上の物件よりも、当然だが新しさを感じる。
敷地内の地面全部にわたって、コンクリート舗装されていて、とてもキレイだ。
もちろん、コンクリート舗装のデメリットもある。
地下で問題があった場合、掘り起こしに費用が掛かるのだ。
管理状態も文句無し。
草や汚れやゴミなどは見当たらない。
ここまで徹底してキレイなアパートも珍しい。
そして、満室。
周辺のアパートの入居率を調べた。
入居率は約8割ほど。
賃貸需要は高い。
さすが、千葉駅から3駅だ。
だが、最寄り駅が大森台駅というのが気になる。
1日乗車人員は1,300人は、少なすぎる。
その時、ふとある考えが頭に浮かんだ。
千葉駅からこの物件までは、
トータルで何分かかるだろうか?
大森台駅は小さい駅だ。
だが、ターミナル駅である千葉駅まで3駅。
時間にすると約7分。
そして、この中古アパートは大森台駅から徒歩2分。
つまり、このアパートから千葉駅まで、計9分で行ける。
『駅まで徒歩2分+乗車時間約7分』だ。
部屋探しの優先事項として、『駅から10分以内』というものがある。
だが、この物件は、最寄り駅まで10分どころか、『千葉駅まで10分以内』で着くのだ。
そう考えると、大森台駅と言えども徒歩2分というのは悪くない。
実際、住んで初めて千葉駅までの近さを実感した人も多いだろう。
ただ、どうしても乗車人員の少なさが頭から離れない。
乗車人員が少ないと、そもそも検索さえされない可能性がある。
せめて、乗車人員1日1万人は欲しい。
次行こう、次!
不動産投資の教訓24
ターミナル駅までの時間で考えてみよう
多くの人は、ターミナル駅近くで働いていることが多い。
そして、小さな駅でもターミナル駅まで数分ということもある。
徒歩+乗車時間で15分以内なら、通勤にとても便利なはずだ。
同時に、ターミナル駅から徒歩15分以内も通勤に便利なはずだ。
次の物件は、西千葉だ。
③売りアパートの販売条件
JR総武線 西千葉駅 中古一棟アパート
所在地 | 千葉県 |
---|---|
最寄り駅 | JR総武線 西千葉駅 |
1日乗車人員 | 22,000人 |
駅徒歩 | 15分 |
構造 | 木造アパ-ト |
築年数 | 25年 |
販売価格 | 4600万円 |
満室家賃 | 504万円 |
利回り | 11.0% |
積算価格 | 1600万円 |
※積算は相続税路線価ベース
<物件選定理由>
立地 | 最寄駅1日乗車人員2万人 |
---|---|
利回り | 11%の高利回り |
担保力 | ― |
その他 | ― |
西千葉駅は千葉駅の隣だ。
千葉市街を抜けて、中古アパート
を目指す。
途中、千葉都市モノレールが頭上を走っていた。
しばらくすると、目的の中古アパートに到着。
おぉ!
第一印象はなかなか良い。
正統派イケメンと言ったところか。
まぁ少し汚れが目立つ。
だが、キレイにすればまだまだ現役だ。
このアパートは、10部屋中入居は8部屋。
周囲のアパートの入居率は7~8割といったところ。悪くはない。
この時、販売図面を見返していた。
その時、ふと違和感を覚えた。
販売図面では利回り10.96%となっている。
家賃収入は、10部屋12ヵ月分で504万円との表記だ。
単純に計算すると、一部屋あたり1ヶ月4.2万円。
んんん!?
この物件、家賃4.2万円も無理だろ!?
西千葉駅から徒歩10分程の築古木造ワンルームは、家賃3万円台前半だ。
仮に一部屋3.2万円としよう。
そうすると、年間家賃は384万円。
販売図面よりも100万円以上少ない。
その場合の利回りは8.3%になる。
想定家賃がかなり水増しされている。
この手のテクニックはよく見かける。
だが、少しやりすぎでは。
事前にこの地域の家賃を調べておいたので気付けた。
もし販売図面の数字を信じて買っていたら、大変な目にあっていた。
また、よく考えると立地も微妙だ
この中古アパート、西千葉駅から徒歩15分とある
だが、実際はもう少し時間がかかる様な気がする。
なぜなら、駅や大学に行くには片側二車線の国道126号線を渡る必要がある。
この道は幹線道路で、歩道が青色になるまでは数分かかる。
販売図面は、1分80mで計算されている。
途中に、坂があったり横断歩道があったりしても一切考慮されていない。
この物件だと、信号待ちの分だけ、時間的距離は遠くなる。
西千葉駅や千葉大学のすぐ近くには、同様の中古アパートがいくつもある。
わざわざ少し離れたこのアパートを選ぶのか。
また、土地値の低さも気になる。
販売価格4,600万円に対して、積算は1,600万円。
この築25年の建物に3,000万円もの価値は無いだろう。
次行こう、次!
不動産投資の教訓25
対象エリアの家賃相場は把握しておくべき
売りアパートの中には、空室の想定家賃が高く設定されていることがある。
想定家賃が高ければ、物件価格が高く見えるし、実際の収支も絵に描いた餅。
検討している対象エリアの家賃相場は、事前にしっかり把握しておこう。
次は、本日の物件調査で一番期待の物件だ。
最寄駅が総武線快速停車駅の稲毛駅なのだ。
④売りアパートの販売条件
JR総武本線 稲毛駅 中古一棟アパート
所在地 | 千葉市稲毛区黒砂台 |
---|---|
最寄り駅 | JR総武本線 稲毛駅 |
1日乗車人員 | 50,000人 |
駅徒歩 | 10分 |
構造 | 木造アパ-ト |
築年数 | 19年 |
販売価格 | 5660万円 |
満室家賃 | 504万円 |
利回り | 8.9% |
積算価格 | 2200万円 |
※積算は相続税路線価ベース
<物件選定理由>
立地 | 1日乗車人員5万人 |
---|---|
利回り | ― |
担保力 | ― |
その他 | ― |
最寄駅の稲毛駅は、大きな駅だと言える。
一日の乗車人員5万人。
千葉県内でベスト10に入る。
JR総武本線の快速停車駅。
日本の経済の中心である東京駅まで、乗り換えなしで40分。
駅のすぐ近くに大型イオンモール。
近くには、千葉大学などの学校がある。
複数の大型施設があるのは強みだ。
もちろん、駅前にはいろんな店がある。
人も多く、活気がある。
さすが、JR稲毛駅。
駅の規模と街の規模が、お互い高めあっている。
こういう場所に物件が買えたら、空室とは無縁だろうな。
ひと通り稲毛駅周辺を見てから、目的の中古アパートに向かう。
この物件の周辺はキレイに区画整理されている。
道路は車がすれ違えるくらい広い。
広い道路に面していると、開放感を感じる。
もし、狭い道路に接していたら窮屈でしかない。
まぁ、築古アパートは狭い道路沿いにあることが常ではあるが。
この開放感は、大きなメリットだ。
周囲の雰囲気も含めて物件のイメージを作っているのだから。
外観はとてもキレイ。
築19年でまだ古さは感じない。
万人受けするイケメン物件だ。
部屋は広めのワンルーム中心。
入居者は千葉大生が想定される。
もちろん、東京への通勤者もターゲットになる。
さて、千葉大学に依存することはリスクだろうか。
大学のリスクは、キャンパスの移転だ。
だが、千葉大学が移転する可能性は十分低いだろう。
千葉大学のキャンパスは千葉市のど真ん中に位置する。
ほぼ全学部が西千葉キャンパスにある。
千葉大学がこの千葉市の中心部から、いったいどこに移転を考えるだろうか。
ここ数年の大学の移転は、郊外から東京都心部への移転が多かった。
だが、それは私立の郊外にある大学のキャンパスなどだ。
千葉大学が東京に移転させることなど考えられない。
千葉県を代表する千葉大学は、すでに千葉市のど真ん中に位置している。
既に千葉の中心地に位置しており、他に移転する可能性は限りなく低いはず。
そう考えると、千葉大学の移転リスクは限りなくゼロだろう。
また、立地以外の条件も総合的に良い。
中古アパートだが、バブル後期に建てられたため他より新しさはある。
広い道に接しており、開放感も申し分ない。
ただ、肝心の利回りは10%を切っている。
中古アパートだと、せめて10%を目指したい。
しかも、実勢の家賃で計算しての10%だ。
利回りで10%にするためには、1,000万円以上の指値が必要だ。さすがに遠い。
物件選びでは、利回りだけを見ている訳ではない。
しかし、中古アパートは10%にこだわらないとキャッシュフローが残らない。
立地が良くて利回り10%以上のアパートは探せば他にもある。
それに、販売価格と積算価格もかい離も大きい。
販売価格は5,660万円に対して積算2,200万円。
築19年の建物価格として、3,400万円は高すぎだ。
このアパート、買っても入居に苦労はしないだろう。
だが、利回りと担保力が足りない。
この中古アパート、
失敗はしないだろうが、成功とは言えないな。
他の物件を見に行こう。
今回、千葉県の物件調査に行った。
これで、神奈川、埼玉、千葉の物件を見たことになる。
3つの県でそれぞれ最も良いと思える物件を選んだことで、その県や地域の特徴を肌で感じることができた。また、それぞれの県の土地勘や相場も、調べてみる良い機会になった。
安定経営を心掛けるなら、東京や神奈川だ。
高い家賃は、賃貸需要の高さを表している。
都心から同じ距離でも、埼玉や千葉よりも、東京や神奈川の方が家賃帯は高い。
埼玉や千葉の中古アパートにも良いところがある。
高利回りでお手頃価格の物件が多い。
もちろん、利回りが高いということは、何かしらのリスクがあるということだ。
賃貸需要が高くないから、利回りが高くなっているのが一般的だ。
もし利回りに釣られて、買った後に苦労すると失敗となる。
また、利回りが高くても家賃が低いと、年間家賃に占める修繕費の割合が大きくなる。
その結果、修繕費が多くかかってしまい全然儲かってない、という状況になり得る。
どんな中古アパートにも、良い点と悪い点がある。
しっかり目利きをして、総合点が高いアパートを見つけたい。
とは言え、なかなか90点以上の物件は見つからない。
ここで妥協して微妙な物件を買ってしま人もいるだろう。
もしくは、アパート経営を諦めてしまう人も多いに違いない。
だが、継続して探していたら、いつかはお得な物件が見つかるはずだ。
引き続き、物件探しを続けよう。
運命の物件に出会うまで。