第3号アパート購入秘話 第3話
中古一棟アパートの決済・引渡まであと数日という時、俺はリフォーム確認のために物件を見に行った。
その時、外階段のタイルの一部剥がれ落ちていることに気付いた。
んんん?
たまたま剥がれているのかな。
剥がれた部分を触ってみた。
すると、その他のタイルも簡単に剥がれて崩れた。
※写真
おいおいおいー。
どうなっているんだー。
これは大変です。
タイルが簡単に剥がれてしまう。
風邪や雨で、自然と剥がれるほど弱々しい。
そもそも、タイルが剥がれだけで済む問題だろうか?
階段が崩れてしまうかもしれない。
階段が壊れたら、2階の部屋に戻れないぞ。
そんなことになれば大変だ。
念のため、ハシゴでも買っておこうか。
いや、まずは現状をしっかり確認しよう。
タイルが剥がれた部分から奥をのぞき込むと、
タイルの土台部分の木材が腐っているのが分かった。
長年水を浴び続けたのか、パサパサな状態だ。
さらに階段の構造をよく見てみると、構造の大部分は鉄製だ。
外側部分だけが、木とタイルで装飾されているだけだ。
この鉄部は無傷だ。
階段の崩壊はしなさそうだ。
ただ、見た目はよろしくない。
キレイな見た目であることに越したことはない。
これは、売主負担で修繕してもらえないか。
私は、階段部分も壊れてない状態を見て買おうと思った。
補修が必要なら、その分の指値をしていただろう。
売買契約書を読むと、
『現状に』
と書いてある。
今回は、引渡前に現状が崩れたのだから、
売主が元に戻す義務があるだろう。
なんとか、売主に請求できないだろうか?
すぐに、不動産屋に電話して、状況を説明。
売主負担での修繕を依頼。
不動産屋は、『現地確認をしてから、売主に事情を説明してみますね』、との返答。
後は、売主の返答を待つだけだ。
2日後、不動産屋から電話があった。
不動産屋と電話
シンジさん、現地を確認してきました。
外階段のタイル、簡単に剥がれてしまいますね。
土台の木が完全に腐ってますね。
その後、売主へ写真と合わせて報告しました。
これを放っておくと、タイル全体が崩れ落ちそうですね。
これを修繕するとなると、どのくらいかかりそうですか?
費用的には約20~30万円ほどでしょう。
一瞬驚きましたが、
古いアパートではよくある事です。
20~30万円ですか。
なかなか大きな出費ですね。
ちなみに、売主さんは何と言ってましたか?
修繕費は出してもらえそうですか?
それがですね、
なんど説明しても『出すつもりは無い』と言い張るのです。
えっ!?
売主さまが主張としては、
『中古なのでこういう状況仕方ない』
『300万円の指値に応じたので十分だろ』
と言っているのです。
そうですが。
契約書には明確に『引渡まで現状維持』と書いてますけどね。
不動産屋さんはどう思いますか?
シンジさんの主張はごもっともです。
ただ、売主の言うことも理解はできます。
ただ、説明を繰り返すと段々と感情的になられて、
『もう契約止めるぞ』とか言い出して…。
何度も言ったのですが、もうどうしようもないのです。
不動産屋の立場では売主にはこれ以上強く言えない関係だな。
昔ながらの大家と、それに従うしかない管理会社だ。
ただ、ここで私が強く主張して売買が白紙になるのは避けたい。
幸い修繕費用は、20~30万円程度か。
納得いかないが、修繕費は諦めよう。
わかりました。
今回の件は、私の負担でなんとかします。
決済・引渡は、予定通りお願いします。
今回は、外階段のタイル脱落にすぎない。
修繕費の見込みは20~30万円。
家賃の1ヶ月分と考えれば、諦められる金額だ。
これが、もっと致命的な欠陥だったら俺も引き下がれない。
屋根からの雨漏りや、シロアリで柱が腐っているなどしたら、100万円で済まないだろう。
正直、納得いってない。
納得いかないが、契約キャンセルよりもマシだ。
修繕費用20~30万円を払っても、このアパートはとってもお得だ。
派手に騒いで契約取り消しになると、最も損するのは俺だ。
ここは、長い目で見て大人にやり過ごそう。
我慢して得を取るのだ。
だが、このやり取りで良い教訓を得た。
売主は、なんて態度なんだろう。
不動産屋に対して、契約書を守らないとゴリ押しするなんて。
だが、それは売主が土地を持っているからだ。
不動産屋にとっては、売主は神様なのだ。
不動産の世界では、
不動産を持っている者が最も強いのだ。
決済・引渡日。
決済は10時ちょうど開始。
私、売主、不動産屋がスルガ銀行に集合。
通帳や手続き資料の確認。
資金の移動手続きが始まった。
売主は、とても機嫌がよさそうだった。
無事に売れて満足なのだろう。
だが、それ以上に俺は満足だった。
こんな良い立地の中古アパートは、今後は出てこないだろうから。
決済を待つ間、売主は不動産投資業界の昔話をしてくれた。
バブルの時代、世間では不動産投資が流行っっていた。
地主も富裕層もサラリーマンも、
みな不動産投資にのめり込んでいった。
当時の銀行は、不動産なら何でも融資を行っていた。
このアパートは、バブル時代に建てられた。
全国的にはレオパレスや大東建託が有名だ。
活発な銀行融資を背景に、全国にアパート・マンションを建てまくった。
千葉県でも、ある建設会社がアパートを建てまくっていた。
その建築業者の名は『エドケン』。
建築会社エドケンは、千葉県の至るところにアパートを建てまくっていた。
そのアパートは『ジュネパレス』という名前で統一されている。
名前がレオパレスに似ているのは、俺の気のせいか。
15~20m2ほどのワンルーム。
全室ロフト付き。
バス・トイレ一緒のユニットバス。
エドケンは千葉県中心に、数百~数千棟のアパートを建てた。
それから20年以上経っても、まだ『ジュネパレス』のアパートは至る所にある。
売主の昔話を聞きながら、俺は思った。
エドケンは今はもう無いが、その名は今もなお売主の間で受け継がれている。
『ジュネパレス』アパートは、まだ現役で入居者を住まわせている。
不動産投資業界には歴史がある。
個々のアパートにも歴史がある。
売主の不動産投資にも歴史がある。
不動産屋はこの歴史を、全て見てきている。
私の不動産投資はまだ1年。
不動産の世界では、まだまだ新参者だ。
ただ、エネルギーは有り余っている。
これからは俺も不動産投資の歴史にどんどん参加しよう!
決済から数日後。
会社の夏休みに、友人らと沖縄旅行に行った。
決済後で、手持ち資金はとても少ないのに、だ。
激安旅行の価格は激安にした。
お金が無いので、節約良好を心がけた。
旅行代金のカード引き落としは9月末。
1千円、1万円の積み重ねが大切だ。
友人らは、夏の沖縄を楽しんでいる。
昼は、ご飯やドライブでの景色の写真を撮りまくっている。
夜は、お酒を飲みながら夜の沖縄の雰囲気を満喫している。
私はどうか?
お金が無くて、気が気でない。
決済直後で、ホントにお金が無いのだ。
1千円の出費でも抑えないと。
病気とかなったら大変だ。
いくらお金がかかるのか想像つかない。
お金が無いと、落ち着かない。
そわそわそわそわ…。
そんな時、電話が鳴った。
第3号アパートの管理会社だ。
シンジさん、
さっそく空室1部屋に入居決まりましたー!
おぉ!
ありがとうございます。
仲介手数料は、来月の振り込み分から差し引いてください!
今月の振り込み分からは、差し引かないでくださいね!
3棟目のアパート購入を終えて
不動産投資を始めて約1年。
この1年で、私は3棟目のアパートを購入しました。
どれも、とても良い立地の中古アパート。
将来、お宝に化けるポテンシャルを持ってます。
ただ、1棟目・2棟目を買った時よりも利回りは低いです。
1棟目15%、2棟目14%ときて、今回は10%台です。
売りに出される中古アパートの利回りは、どんどん低下しています。
それに、超好立地の物件はもはや全く出てきません。
たまに出てくる好条件の売り物件があると、すぐに買い手が殺到です。
不動産投資業界が、どんどん過熱しているのを感じます。
この世の欲と金が、不動産に集まって来ているのがよく分かります。
今回買った第3号アパートは、条件は優秀です。
特に、立地に関しては千葉県内でも最高峰です。
私以外にも、買いたいという問い合わせは多かった様でした。
その様な中古アパートを、
私が買えたのは偶然なのでしょうか?
良い物件が買えた時、
買った本人は『運が良かった』と思う時があります。
だが、『運』で全てを済ませていいのでしょうか?
本人ははっきり認識していなくても、
そこにたどり着くまでには何かしらの要因があるはずです。
良い物件を買える人は、不動産を探す努力をしているはずです。
不断の努力を最している時に、少し幸運が働いたために買えたのです。
今回の私はどうであったか。
私が第3号アパートを買えたの背景には、何があったのか。
自らの行動を振り返ると、
自分自身の行動が原因だと思えるのです。
この物件を買えた最大の原因は、
『不動産屋に買える客だと伝えたこと』
ことです。
この中古アパートを買う時、
私はできるだけ素早い行動を心がけました。
サイトに掲載された日に、物件調査に行きました。
その足で、不動産屋にも会いに行きました。
そして、不動産屋にどうやって購入資金を用意するかを伝えました。
不動産屋は、早く確実に買う買主を好みます。
私の素早い行動は、不動産屋にとっても期待以上に良かったはずです。
そして何より、
『融資が受けれそうで、仮審査が1~2日で取れる』
ことを伝えたことで、不動産屋が私を優先する決定打となったはずです。
今回の不動産屋は、他の問い合わせの人を全てストップしてくれていました。
最初そのことを聞いた時は、私はつい『ラッキー』だと思いました。
ただ、今思い返すと、私の行動が全ての原因です。
早く行動を起こして、資金源をしっかり伝える。
だからこそ、不動産屋は私を優先してくれたのです。
この物件を買う前に、私はあるアパートを買い逃しました。
買うかどうかを数日迷っているうちに、他の投資家に買われてしまったのです。
あの時、もっと早く決断していれば。
あの時、もっと強く気持ちを伝えていれば。
誰にでも失敗はあります。
後悔は先には立ちません。
そこまではみな一緒。
問題はその次です。
失敗しても、反省すればいいのです。
そして、悪かった点を直せばレベルアップできるのです。
早く行動する様にすること。
確実に金を用意できることを伝えること。
より良い行動を意識した結果、
良い結果をたぐり寄せたのです。
また、
『セミナーでスルガ銀行と接点があったこと』
も大きな原因でした。
良い物件を見つけても、お金が無ければ買えません。
そのため、融資してくれる金融機関は重要な存在です。
金利や融資期間に重きを置きがちですが、
良い物件を買うには、審査が早いことも重要です。
不動産屋は、早く売買成立することを目指しています。
売主の気が変わったり横取りが入る前に、さっさと売買成立させて手数料を得たいはずです。
一方、融資の審査は時間がかかります。
地銀や信金だと、審査に1ヶ月かかることもあります。
人気物件を買う時には、融資審査の早さが重要です。
審査が降りるまで1ヵ月以上も待ってくれません。
スルガ銀行は審査のスピードは、とてつもなく早いです。
この頃は、朝に仮審査を送付すると、昼前には仮審査を出してくれました。
実質2時間ほど。
ほとんど一瞬です。
不動産屋が、私以外の他の人を待たせていましたが、
このスルガ銀行の早い仮審査の存在があったからです。
私自身、スルガ銀行と接点があったから、この『ターミナル駅徒歩10分』の中古アパートが買えました。
どこよりも早く仮審査を出すスルガ銀行と接点があったので、この物件を買えたと言っても過言ではありません。
私はスルガ銀行の担当者と知り合ったきっかけは、不動産投資のセミナーです。
いくつものセミナーに参加して、いろんな業者やいろんな銀行と接点がありました。
後日、スルガ銀行の担当者から電話があったことで、取引が始まりました。
スルガ銀行と接点があって良かった。
だが接点があったのは、私が多くのセミナーに参加していたからなのです。
いつどこで、どんな良い事が生まれるかは分かりません。
私の場合は、スルガ銀行との接点が重要でした。
人によっては、不動産会社との接点が運命になることもあります。
同じ不動産投資を目指す者同士のつながりが運命になる可能性もあります。
ただ言えることは、不動産投資では業界に接点が多ければ多いほど、良い情報に巡り合える可能性が高いということです。
例え名刺交換したときは良い商いが無くても、
ふとした瞬間に良い情報が回ってくるものです。
運命をたぐり寄せるためにも、不動産投資セミナーに参加しましょう。
もしかしたら、良い御縁が転がっているかもしれません。
(第3号アパート購入秘話 完)