不動産投資の経営記録

一棟アパートの利回りは低下傾向だが物件探しを続けた結果…

第3号アパート購入秘話 第1話

2014年。

 

最近は、”私高公低”だ。

 

”私”であるプライベートは色々と順調だ。
休日は散歩や遊びでそこそこ充実している。

 

一方、”公”であるサラリーマン生活は相変わらず不調だ。

 

今の課に来て3年経ったが、全く評価が上がらない。
相変わらず上司に怒られる日が続く。

 

同僚が同じことをしても、めったに怒られない。
一方で、私は容赦なく怒られる。

 

上司とは相性が悪いのだろうか。
怒られやすい性格は損である。

 

ホント、会社員に向いてないのかも。
サラリーマン以外の人生を考えなければいけないかも。

 

ただ、私には不動産投資がある。
不動産投資はどっちに分類されるか?

 

不動産投資は、私でも公でも無く、”秘”だ。
プライベートでも会社でも、誰にも言ってない。

 

秘である不動産投資は、なかなか順調だ。

 

昨年、2棟16室のオーナーになった。
その中で、空室は1部屋だけ。

 

まだ不動産投資を始めて約半年だが、思ったより順調だ。
キャッシュフローもプラスなので、現金も貯まってきた。

 

不動産投資は順調なのに、
なぜ会社では不調なんだろう。

 

だが、会社でのストレスが貯まる程、
不動産投資への熱エネルギーも溜まってくる。

 

今は、不動産への熱もあり現金もある。

 

さて、次の物件を探そうか。

 


 

2棟目の中古アパートを購入してから約半年。
その間、世間では確実に不動産投資が過熱してきていた。

 

本屋では、不動産投資関連の本は確実に増えている。
普段目にする広告も、不動産投資関連が増えている。
会社で、不動産投資に関する雑談も頻繁に聞こえてくる。

 

当然、中古アパートの利回りの相場は下がってきている。
一都三県では、もはや10%以上のアパートは珍しい。

 

半年前とは別世界だ。
不動産投資の勢いを感じる。

 

もちろん、いつかは相場が崩れる時は来る。
山があれば、必ず谷もある。

 

だが、相場が崩れるのがいつかは分からない。
来年かもしれないし、10年後かもしれない。

 

中古アパートの価格は、まだ上がり続けるのか?
それとも、下がり始めるのか?

 

この状況で物件を買ってもいいのか?
ここは一端様子見すべきか?

 

迷う。
悩む。

 

だが、ふとある考えが浮かんだ。
相場を基準に考えることがそもそも間違っている。

 

中古アパートは、値上がりしたからと言ってすぐに売るモノではない。
重要なのは、キャッシュフローがちゃんと出るかどうかだ。

 

相場がどうであれ、キャッシュフローが残れば良いのだ。
相場の上げ下げなんて気にするな。

 

良い物件が減ったとはいえ、毎日目を光らせて探していれば見つかるはずだ。

 

実際、2ヵ月前に買いたい物件があった。
その時は、他の投資家に買われてしまったが。

 

逃した魚は大きい。
買いたい物件を買えなくて、ショックを受けた。

 

まるで、失恋をしたような気持ちだ。
好きなあの子は、他の男子と話している。
あぁ。思い出したくもない過去だ。

 

気に入った物件を買えなかったことは悔しい。
だが、ますます不動産を買いたい気持ちが高まる。

 

まだまだ良い中古アパートがあるはずだ。
もっと良い中古アパートを買ってやる。

 

そんな時、ある中古アパートが目に入った。

 

売りアパートの販売条件

中古一棟アパート

第3号一棟中古アパート

所在地 千葉県
駅徒歩 大きな駅から10分以内
構造 木造アパ-ト
築年数 約25年
販売価格 3,600万円
満室家賃 330万円
利回り 9.2%
積算価格 2,100万円

※積算は相続税路線価ベース

 

不動産投資家シンジ

 

うおぉっ!?
めちゃくちゃ良い!

 

見た瞬間、確信した。
このアパートは『買うべき』だ。

 

立地・利回り・担保力の条件が良い。
これは当たり物件だ。

 

目が熱くなった。
アソコも熱くなった。(←魂です)

 

まずは、立地。

 

この物件、立地は最強クラスだ。
千葉の大きな駅から徒歩約10分。

 

賃貸需要は申し分無い。
これほどの良い立地の中古アパートは、めったに売りに出ない。

 

立地は希少物件。
超レアモノだ。

 

次に、担保力。

 

積算は路線価ベースだと、2200万円
だが更地の実勢価格は、約3,000万円ほど。
販売価格3,600万円との乖離は。わずか600万円。

 

担保力はとても高い。
指値が通れば、土地値と差はさらに近くなる。

 

問題は、利回りだ。

 

8部屋で平均3万円台半ば。
年間では約330万円。
販売価格は3,600万円なので、利回り約9%ほど。

 

利回り9%は、今の相場では高くも低くもない。
だいたい、他の中古アパートもこのくらいの利回りで売りに出ている。

 

だが、正直言うともう少し利回りが欲しい。
1桁%だと、利益がほとんど残らない。

 

第1号アパートは利回り約15%。
第2号アパートは利回り約14%。

 

まぁ、保有の2棟はバケモノだ。
今の相場の物件と比べるのはナンセンスだ。

 

では、利回り9%でキャッシュフローは残るのか。
実際に計算してみよう。

 

満室家賃は、月27万円。
管理費は、月2万円。
スルガ銀行で25年4.5%で借りると、返済は月14万円。

 

キャッシュフローは月11万円。

 

※計算式

うーん。
特別高くはない。
まぁでも、一応10万円ほどは残るのか。

 

この立地なら、満室経営は可能だ。
このシミュレーションは再現性が高い数字と言える。

 

また、立地は千葉の最高峰だ。
いや、一都三県で見てもかなり恵まれた立地だ。

 

将来は、住居用にも賃貸用にも何にでも使える土地だ。
この物件は将来的には間違いなくお宝になる。

 

指値して10%になるなら、買ってしまおう。
将来、借り換えや金利交渉すれば、キャッシュフローを増やすことも可能だ。。

 

さっそく、不動産屋に電話しよう。

 

不動産屋と電話

不動産投資家シンジ

 

売りアパートはまだ残ってますか?
まだ販売中なら、現在事項証明書、公図、レントロールなどの資料をいただきたいです。

 

不動産会社_ベテラン

 

はい、まだ販売中です。
ただ、資料はまだ手元に無いのです。

週明けに役所で取得しますので、郵送しますね。
住所を教えてください。

 

不動産投資家シンジの考え

 

ゆ、郵送!?
メールじゃないのか!?

 

不動産投資家シンジ

 

わ、分かりました。
住所は、東京都〇〇区〇〇です。

アパートの資料、お待ちしています。

 

電話をしながら、俺は疑問に感じていた。
その疑問は、電話を切った後、さらに大きくなった。

 

ただの資料請求なのに、わざわざ郵送!?
普通の感覚では、メールで送信が普通では?

 

こんな良い中古アパート掲載したら、たくさん問い合わせがあるはずだ。
何十件問い合わせが来ても、全て郵送するのか!?

 

しかも、サイトに掲載しているのに、資料はこれから用意するなんて。
普通、資料を揃えてから売りに出すのでは?

 

この不動産屋、少しのんびりすぎないか。
今までやり取りした業者は、資料などすぐにメールで送ってきた。

 

おそらく、時間の感覚が違うのだろう。

 

私は『平成』の時代を過ごしている。
一方、この不動産屋は『昭和』の時代のままの感覚なのだな。

 

とりあえず、資料を待っている時間が無駄だ。
今すぐ、物件調査に出かけよう。

 

ネットの販売図面、デジカメを鞄に詰め込んで、千葉にGO!
不動産屋との電話を切ってから、40秒後には家を飛び出していた。

 


 

中古アパートの最寄り駅に到着。

 

さすがターミナル駅だ。
駅前は栄えていて、お店もたくさんある。
デパートや大きな店などがあり都会だ。

 

もちろん、不動産屋もたくさんある。
この中のどれかに管理をお任せするかもしれない。

 

物件は駅から約10分ほどだ。
アパートまでの道は平坦で広く、人も多い。

 

周辺はアパートやマンションが多い。
どれも入居率は9割以上。
さすが、ターミナル駅はすごいな。

 

駅から歩いて約10分でアパートに到着。

 

おぉ!
なかなかいい外観だ!

 

ぱっと見た印象は、写真より良い。
外観、雰囲気、共に申し分ない。

 

このアパートはバブル時代に建てられた典型的なワンルームだ。
築20年以上経つが、ボロさは全く感じない。

 

建物の敷地を一周したが、管理も問題ない。
ゴミやほこりや草もほとんど無い。

 

物件を見ながら、
『このアパートは絶対逃したくない』
と心に誓った。

 

物件を見た後は、家に帰る予定だった。
だが、行くところができた。

 

飛び込みで、不動産屋を訪問しよう。

 


 

不動産屋は、物件の最寄り駅から5駅程離れていた。
ちなみに、管理も同じ不動産屋がしている様だ。

 

この物件の最寄り駅前にはたくさん不動産屋があるのに、
なぜ5駅も離れた不動産屋が管理しているのだろう。
購入出来たら、管理会社変更も検討しようか。

 

不動産屋の店舗に向かいながら、
様々な考えが頭をよぎった。

 

このアパートに出会う2ヶ月前、
俺はある中古アパートを買い逃している。

 

俺が買おうか2,3日迷っている間に、
富裕層に現金で掻っさらわれてしまった。

 

あれは、大反省だ。
良い物件を見つけたら、買うかどうかを早めに判断すべきだった。

 

今回は、買い逃さないようにしなければ。

 

現金買いが来たら仕方ない。
俺はローン前提なので、負け確定だ。

 

だが、今の時点では誰よりも早いはず。
サイトに掲載された瞬間、物件調査して不動産屋訪問もしている。

 

考えを巡らしているうちに、不動産屋の店舗に到着。

 

不動産屋は、昔ながらの小さなお店だった。
店には、50代くらいの社長がいた。

 

急な訪問にも関わらず、
笑顔で出迎えてくれた。

 

不動産屋と会話

不動産投資家シンジ

 

売りアパートの件でお電話したシンジです。
色々お伺いしたくて訪問いたしました。

 

不動産会社_ベテラン

 

わざわざお越しいただけるなんて。
まだ資料が無くて、申し訳ないですね。

 

不動産投資家シンジ

 

いえいえ、大丈夫です。
いま物件を見てきましたが、とても良いアパートですね。

 

不動産会社_ベテラン

 

物件調査もして、訪問もいただけるなんて。
若いだけあってエネルギーありますね。

 

不動産投資家シンジ

 

とっても良い物件だと思いましたので、すぐ見に行きました。

物件についていくつか質問しても良いですか?

 

不動産会社_ベテラン

 

その前に一点良いですか?
資金の目途はありますか?

 

それまで社長は、とても笑顔だった。
だが、本気の話に切り替わった瞬間、少し張り詰めた空気に変わった。

 

社長は、確かめようとしているのだ。
俺が、3,600万円という資金を用意できる人物なのかどうかを。

 

私は、社長の目を見て、
落ち着いて話し始めました。

 

不動産屋と会話の続き

不動産投資家シンジ

 

今は、手元に〇〇〇万円あります。
残りのお金は、スルガ銀行から融資を受けます。

今2棟購入保有していますが、まだ貸せると言われています。
仮審査は、書類が揃えば1~2日後には結果が出ます。

 

不動産会社_ベテラン

 

なるほど、スルガ銀行さんですね。
にしても、仮審査が通過するのに1~2日ですか。

他のどの銀行よりも早いですね。

 

不動産投資家シンジ

 

はい、スルガ銀行は審査が早いので。
それに一度買うと決めて買付証明を出したら、途中でキャンセルなどいたしません。

 

不動産会社_ベテラン

 

それは素晴らしい。
曖昧な態度の人とかいますからね。

ところで、質問は何ですか?
何でも答えますよ。

 

不動産投資家シンジの考え

 

社長が、急に笑顔になったな。
やはり、『買える客』と分かると話が早い。

不動産屋にしてみれば、買えない客と話しても時間の無駄だもんな。

 

不動産投資家シンジ

 

売主さんの売却する理由は何ですか?
この物件、トラブルや滞納はありますか?
告知事項はありますか?

 

不動産会社_ベテラン

 

現オーナーはかなりの高齢のため、資産の整理です。

トラブルや滞納はありません。
告知事項もございません。

 

不動産投資家シンジ

 

(その他いろいろ質問)

 

不動産会社_ベテラン

 

(回答)

 

不動産投資家シンジの考え

 

次は指値についての交渉だ。
ただ、不動産業者に対しては、
指値の幅を相談するという気持ちで話そう。

 

不動産投資家シンジ

 

最後の質問です。

指値は、どのくらいなら行けそうですか?
感覚的なところをお聞かせいただければ。

安定経営のためにも、もう少し安く買いたいです。

 

不動産会社_ベテラン

 

このオーナーさん、実は最近別の他の不動産も売ったんですよ。
その時は買主に300万円ほどの指値されましたが、成約しましたね。

 

不動産投資家シンジの考え

 

指値300万円で成約した!?
具体的な金額の返事が来た!

 

不動産投資家シンジ

 

では、私も300万円の指値の3,300万円で買付証明書を出します。
スルガ銀行から仮審査取ったら、すぐ連絡します。

 

その後、軽く雑談をして不動産屋の店舗を後にした。

 


 

帰宅後、さっそくスルガ銀行に電話。

 

祝日なのに担当者は、電話に出た。
すぐさま、中古アパート購入に向けた融資の打診。
担当者は融資に前向きな反応だ。

 

すぐさま仮審査書類を送付。
だが、物件関係の資料は不動産からの郵送を待たなければ。

 

2日後、不動産屋から必要書類が郵送で届いた。
資料をスキャンして、夜中のうちにスルガ銀行にメールで送付。

 

翌日の昼前に、スルガ銀行から電話。
仮審査OK。

 

さすが、スルガ銀行。
光速の速さの仮審査だ。
こんな早さは、他の金融機関ではまず無理だ。

 

スルガ銀行の仮審査結果

・金額:約3,000万円
・期間:25年
・金利:4.5%

 

すぐに不動産屋に買付証明を送付。
買付証明が何番目か聞かなければ。

 

けど、こんなに良い物件だ。
他の投資家が放っておくわけは無いだろう。

 

現金で買う客とか、現われませんように。
他の投資家に買われてませんように。

 

不動産屋と電話

不動産投資家シンジ

 

スルガ銀行の仮審査が通りました。
買付証明書をメールで送りましたが、届いてますか?

 

不動産会社_ベテラン

 

はい、届いてます。
さすが仮審査は屋ですね。

 

不動産投資家シンジ

 

私の買付証明は何番ですか?

 

不動産会社_ベテラン

 

シンジさんが1番ですよ。

 

不動産投資家シンジ

 

あぁ、良かった。
外の投資家からも電話ありましたか?

 

不動産会社_ベテラン

 

問い合わせはとても多いです!
今まで何十件と電話来ています。

ですが、シンジさんが早く動いてくれているので、他の人には待ってもらってます。

 

不動産投資家シンジの考え

 

う、うれしすぎる!
俺のために、グリップしてくれているのか!?

 

不動産投資家シンジ

 

ありがとうございます。

買付証明にも書いてますが、指値して3,300万円でお願いします。
売主さんからの返答をお待ちしております。

 

不動産会社_ベテラン

 

売主に連絡取れ次第、連絡いたします。

 

電話を切った後、
私は感動で身体が震えていた。

 

不動産屋は、私の仮審査を待ってくれていた。
それまでの間、他の買い手候補をストップしてくれていた。

 

俺だけが購入にコマを進めてる状況だった。
完全に、案件をグリップしている状態だった。

 

最高だ。
買い逃した時とは、全然違う。

 

だが、なぜ不動産屋は私を優遇してくれたのか?

 

いち早く物件調査に行ったからか?
不動産屋を訪問して、本気度を見せたからか?

 

いや、一番は『買える客』であることだろう。
他には、『仮審査がいつとれるか伝えていたから』だろう。

 

俺は、不動産屋に訪問したとき、
『スルガ銀行から融資を受けれること』
『最短1,2日で仮審査が取れること』
を伝えてあった。

 

そのため、不動産屋は、
『買えるか分からない客』を相手にする必要が無く、
俺の仮審査の結果を待つだけでよかったのだ。

 

俺は、『他の投資家には待ってもらっている』と聞いたときにラッキーと思った。
だが、不動産屋が待っていてくれたのは、ラッキーなんかでは無い。
不動産屋は、『確実に買えそうな』俺を待つという、合理的な行動をしていただけだ。

 

やり取りの中で、因果関係で出来上がっていたのだ。

 

ただ、いち早く物件調査して不動産屋を訪問したことは良かった。
誰よりも早く、あれより遅かったら、いろんな投資家がスルガ銀行に駆け込んでいたはずだ。

 

あとは、売主が指値を承諾してくれるか?

 

果報は寝て待とう。

 

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