第2号アパート購入秘話 第2話
実質2時間でスルガ銀行の仮審査を通過し、
仲介業者に約2,400万円で買付証明を送付。
その翌日、仕事中に不動産屋から電話があった。
売主の返事が返ってきたのだという。
電話を取る瞬間、手が震えた。
俺の指値は無事通ったか?
売主に拒否されてしまったか?
別の買い手が現れたりしてないか?
俺は、あの中古アパートは買えるのか?
いろんな考えが交錯する。
しかし、できることは全てやった。
これでダメなら諦めがつく!
覚悟を決めて、電話に出た。
シンジさん!
約2,400万円で売主のOKが取れました!
あ、ありがとうございます!
つい、ガッツポーズが出てしまった!
指値が通った時というのは、これ以上ない幸福な気持ちだ。
この瞬間は、不動産投資で最もうれしい!
女性への告白で「OK」と言ってもらえる瞬間だ。
まるで、世界中からスポットライを浴びているような感覚になる。
とはいえ、これで利回りは14%台。
経営次第だが、かなりの利益を残せる条件だ。
早めに売買契約まで持ち込もう。
不動産の取引で、長引かせて良い事など一つも無い。
その週末の土曜日、
中古アパートの売買契約することになった。
契約の場で、売主と対面した。
売主は、70代くらいのおばあさん。
だが、実際はそれよりも若く見える。
まだまだ元気そうで、声にも張りがある。
今回売るアパートは、亡き旦那様からの相続で持っていた。
だが、他界された後は、賃貸経営が煩わしく思っていたらしい。
まぁ、今まで十分稼いだのだろうか。
毎年家賃をコツコツ稼ぐより、さっさと売ってお金を手にして大家業から身を引きたいのだそうだ。
そういや、第1号アパートの売主もおばあちゃんだった。
相続した築古アパートを、手放したがっていたらしい。
2人とも、旦那さまが経営していたアパートを相続した。
そして旦那さまが他界後に、賃貸管理から身を引きたくて売りに出した。
まぁ、よくあるパターンなんだろうな。
そう考えると、これからもまだまだ売り物件は出てきそうだな。
売買契約は、約1時間で完了。
今回も事前に契約書を確認しておいたので、滞りなく終わった。
売買契約は終わったが、まだ気は抜けない。
決済・引渡までには、まだまだすべきことがあるのだ。
さて、管理会社をどうしようか?
この物件の管理会社は、売買の不動産屋が管理していた。
不動産屋は、引き続き管理をしたいと言ってきた。
不動産屋は、この物件が新築だった時から管理しているらしい。
そのため、建物事情に詳しい。
修繕履歴なども、きちんと記憶している。
俺としても現状の管理状況に特に不満は無い。
管理状態は良好だ。
物件調査では、ゴミや草や汚れなど無かった。
きちんと維持管理ができていることは調べ済みだ。
最初は、他の不動産会社と比較検討しようという気持ちあった。
第1号アパートの管理会社である大手との違いを、実際にこの目で見てみたいとも思っていた。
ただ、最終的には社長の熱心さも感じたので、引き続き管理継続をお願いした。
次に、火災保険だ。
これも第1号アパートと同じように進めよう。
しかし、一つ気になる点がある。
このアパートは、木造ではなく軽量鉄骨造だ。
木造と鉄骨造で保険料は同じになるのか。
少しでも、保険料を安くできないか。
火災保険の申込書を詳しく読み込んでみた。
すると、『準耐火建築物』であることが示すことができれば、保険料は数万円安くできそうだ。
ただ、売買契約時に渡された建築資料には、準耐火建築物かどうかが分かる記載はない。
どうしよう。手詰まりか。
もう20年以上に建てられたアパートだし、
これ以外の資料が無いのならば仕方がない。
ただ、よくよく建築時の資料を見てみると、このアパートの建築業者の名前が分かった。
その建築会社は、『積水ハウス』
大手建築会社『積水ハウス』が建てたアパートなのだった。
さっそく積水ハウスのホームページのお客様窓口に電話。
建物の住所を伝え、当該建築物の建築資料が残っているかを聞きます。
まぁ、さすがに20年以上も前の資料は残っていないだろうな。
しかし、さすが大手建築会社の積水ハウス!
過去の資料は保存してある、と。
大手の会社は、しっかりしているので頼りになります!
メールで建築時の資料が送られてきました。
(それ以降、商品案内のDMメールも送られてきますが)
資料を見てみると、『準耐火建築物』ではなかった。
しかし、大手建築会社の安心を、肌で感じることができた。
まさか、20年前の物件の資料が残っているなんてな。
さて、次はスルガ銀行の融資本審査だ。
本審査の手続きは、いろんな証明書が必要だ。
役所や税務署に様々な書類を申請する必要があり大変だ。
だが、俺は先月に第1号アパートを買ったばかり。
そのため、役所関係の証明書は今回は不要だった。
新しく買うアパートの資料だけでOKだったのだ。
必要資料を提出して一週間後、
無事に本審査通過。
本審査が通れば、あとは決済・引渡しだ。
だが、今回の決済の立ち合いには行けそうにない。
再び、不動産屋に買主代理での出席をお願いすることにした。
そしてその数日後、
無事に決済・引渡が完了した。
こうして、無事に第2号アパートのオーナーとなった。
だが、まだ気は抜けない。
購入時、この物件は1部屋空室。
まずは、この空室を埋めなければ。
空室は、前オーナーの時にリフォームは施されていた。
畳の床が、フローリングに変わっていた。
壁紙も、新しく張り替えられている。
エアコンも新しい。
だが、まだ古さを感じさせる。
茶色のフローリングや押し入れは、見た目の新鮮さに欠ける。
やはり新しさを強調するには白色が良い。
特に、床を白っぽい色にするだけで、外観とは別世界の物件に見間違う。
部屋に入った瞬間に感じる印象がだいぶ異なる。
少しリフォームを行おう。
白色のクッションフロアで全体を明るく見せたい。
クッションフロアだけなら、工事は安く済む。
他の軽微な修繕と合わせて、7万円程度絵済ますことができそうだ。
さて、第2号アパート購入の時系列を、メモ代わりに残しておこう。
不動産会社 | 金融機関 | 管理・維持 | |
0日目 | 物件発見・問合せ | ||
1日目 | 現地調査 不動産業者と電話 |
||
2日目 | スルガ銀行の仮審査申込み | ||
3日目 | 買付証明書送付 | スルガ銀行の仮審査通過 | |
4日目 | 売主の承諾 契約書の内容確認 |
||
5日目 | 手付金準備 | ||
7日目 | 売買契約締結 | ||
8日目 | スルガ銀行本審査申込み | 積水ハウスへ建築時の資料請求 | |
11日目 | 積水ハウスから資料届く | ||
18日目 | スルガ銀行本審査通過 火災保険申込み |
||
24日目 | 融資契約 火災保険支払い |
||
27日目 | 決済・引渡 | 決済・引渡 | |
28日目 | 管理委託契約 |
1棟目に比べると、かなりテキパキ進めることができた。
戸惑うことも、かなり少なかった。
特に、物件を見つけてから仮審査まではわずか3日だった。
早く決断したのも良かったが、仮審査の早さもありがたい。
この速さで仮審査まで取るのは、スルガ銀行以外ではまず不可能だ。
交渉に関しても、かなりじっくり取り組めた。
不動産屋が元付か客付かを確認する余裕もあった。
どこまでの指値が通用するか、不動産屋と突き詰めて話すこともした。
どちらも、相手が応じられるギリギリを見極めるために必要な過程。
既に1棟目のアパート売買を経験していたから可能だった。
2棟目の物件購入を終えて
2棟目探しは、1棟目の決済・引渡前から探し始めていました。
そして、1棟目の引渡が終わった翌日に、不動産屋に問い合わせをしました。
少し急いで買いすぎに見えるかもしれません。
1棟目でじっくりと賃貸経営の経験を積んでから、2棟目を探すという選択肢もありました。
しかし、当時の私は『不動産欲しい欲しい病』に侵されていました。
これは多くの不動産投資家がかかる病気でもあります。
『金持ちになりたい』という欲で不動産投資を始めた人は、
『不動産をたくさん買いたい』という欲に勝てるはずがありません。
実際、1つ目の不動産を買った直後の不動産投資家は、ほぼ全員がこの病気にかかりです。
手元資金が無ければ買えませんが、逆に言うと、手元資金さえあればほぼ全員が次なる物件を探し始めます。
なぜ、1つ目の不動産を買った後にさらに買いたくなるのか?
それは、1つでも不動産を買うと、不動産購入に対するブレーキが外れるからです。
1つ目の物件を買うまでは、なんやかんや言っても、不動産投資で数千万円の借金をすることに恐怖があります。しかし、実際に購入してしまうと、『こんなもんか』と感じるのです。
そうして『借金をする恐怖』を乗り越えると、
手元資金の許す限り家賃収入を増やしたいと思ってしまうのです。
まさに、ブレーキからアクセルに切り替わるようなものです。
この『不動産欲しい欲しい病』、
実はかなりやっかいな病気です。
1つ目の物件を買う時は、どうしても慎重になっています。
『この物件を買っても大丈夫か?』
『キャッシュフローはいくらだろう?』
『周辺の同物件の入居率はどうか?』
最初の頃は、物件を買って大丈夫か慎重に考えるはずです。
頭の中では、『慎重さ』が最優先事項となっています。
しかし、1つでも不動産を買うと考え方は変わります。
『この物件ならいくら儲かるか?』
『最寄り駅は小さいが将来に期待だ』
『俺なら満室経営できるはず』
この時、考えの根本にあるのは『早く買いたい』というものです。
そして、1棟目の時に持っていた『慎重さ』は姿を消しています。
この状態で、少し良く見える物件を目の前にするとどうなるか。
メリットばかりが目に付いて、つい欲しくなってしまいます。
例えデメリットがあっても、根拠も無く『なんとかなる』と思い込んでしまいます。
この様に、1つ目の不動産を買った後は、物件の良し悪しを見抜く力は落ちてしまっています。どんなダメ物件でも、美人物件に見えてしまうのです。
ここで判断を間違ってダメ物件を買ってしまい、奈落の底に落ちていく人は後を絶ちません。
『不動産欲しい欲しい病』は、非常にやっかいな病なのです。
実は、この第2号アパートは問題を抱えていました。
第2号アパートの空室は、購入後もなかなか埋まりませんでした。
リフォームを施して、半年後にやっと入居者が現れたのです。
この物件は、保有している物件の中では入居募集の反応は悪いです。
一度空室になると、入居が決まるのは平均半年はかかります。
さらにその後、第2号アパートは空室ラッシュが起こりました。
なのと、6部屋中4部屋が空室になったのです。
私は、この事件のおかげで、空室対策を考えるようになりました。
そのおかげもあり、なんとか満室経営を続けています。
賃貸経営をしていて一番の悩みは空室です。
大都市では、空室など無縁かもしれません。
人口も世帯数も増えているので、入居者に困らないです。
しかし、郊外へ出ると空室は常に大家のそばにあります。
土地が安い分、賃貸物件はどんどん増えていきます。
そんな状況でも、不動産投資家は満室経営を心がけます。
空室に困れば困るほど、満室経営の努力をします。
その結果、郊外では都心では見たことないような空室対策の知識・ノウハウが生まれるのです。
不動産投資家は、空室対策を頑張り続けることで、この不動産賃貸業の世界を生き抜いているのです。
この物件は、14%台という高利回りで買えました。
安く売られていたという側面はありますが、賃貸需要が高くないから高利回りになったともいえます。
ただ、空室対策のおかげで、空室になっても入居は決まり続けてます。
14%の利回りもあり、結果的には高い利益を稼ぎ出しています。
利回りを求めながら、私はある考えを意識しました。
もともと富を持たざる者が不動産投資でセミリタイヤを目指すならば、ある程度リスクを取ってでも利回りを求めなければなりません。100%安定経営できる物件では、キャッシュフローを生まないし、そもそもセミリタイアなど不可能です。
リスクとリターンは、トレードオフです。
サラリーマンがセミリタイヤを目指すのであれば、多少苦労しても多くの利益が得られる不動産経営をする必要があります。リスクを抑えながらでは、永遠に高いリターンは得られません。
ただ、初心者のうちからリスクを求めるべきではありません。
ある程度不動産投資の経験を積んだのちに、敢えて少しのリスクに飛び込むのです。そうすることで、リスクをコントロールしながらリターンという果実を得られるのです。
※ちなみに、初心者が1億円の一棟マンションを買うのは『リスクを取るとは言いません』ただの自殺行為です。
こうして、私は2棟目の中古アパートを買いました。
これで、16室の不動産オーナーになりました。
購入総額は、約5,500万円。
満室時の家賃収入は約780万円。
少しずつですが、順調に進んでいるように見えます。
しかし、まだ不動産投資を始めたばかりです。
決して気を抜いてはいけません。
順調と思った時ほど、
転落のきっかけが始まっているものです。
そして、人生は無常です。
浅い傷では決して許してくれません。
落ちるとこまで堕ちます。
それが、人生というものです。
ただ、努力の方向が正しければ、必ず報われるはずです。
どんなに辛くても苦しくても、気を抜かずに頑張っていきましょう。
引き続き、セミリタイヤ目指して頑張っていきます!
(第2号アパート購入秘話 完)